先日,被害者参加の事件がありました。

被害者参加とは,平成20年12月1日から開始された制度であり,一定の犯罪(殺人,傷害
致死,危険運転致死傷,強盗致死傷,強制わいせつ,強姦等)について,犯罪被害者が希望
する場合には,裁判所の許可を得て,直接刑事裁判に関与することができる制度であり,

具体的には,
①公判期日への出席
②証人尋問(但し,情状証人に限る。)
③被告人質問
④被害者論告(事実・法律の適用に関する意見の陳述)
を行うことができます。

先日の事件は,対象事件を含む犯罪であったことから,被害者から依頼を受けて,
被害者参加人弁護士として刑事裁判に参加し,被告人質問を中心に行いました。

これまで,犯罪被害者は,刑事裁判に直接参加することができず,単に証人として
証拠調べの対象となることが中心でしたが,その後,被害感情を述べることが
できる意見陳述制度や,証人尋問の際の遮蔽措置やビデオリンク(法廷で証言
するのではなく,別室で待機して映像でやり取りをするシステム。)などの制度が
順次導入され,現在は,上記のように,一定の犯罪については,当事者に近い
立場で刑事裁判に参加することができるようになりました。

また,それと併せて,被害者からの申立てにより,刑事裁判を担当した裁判体が
刑事事件の判決に続いて,被告人(加害者)に対して損害賠償を命じる「損害賠償
命令制度」も運用を開始しており,これまでは,別途,民事裁判を起こすしかなかった
賠償問題について,刑事裁判の結果を有効に利用することも可能となりました。

以上のように,法律上の制度は,順次整備されていますが,犯罪被害者の問題は,
被害に遭われた方の心情,お気持ちの問題等もあり,とてもナイーブな分野です
ので,同問題に対して,適切な対処ができるように,今後も研さんを積みたいと
考えています。

沢田法律事務所