離婚事件において問題となる事項の一つに「面会交流」の問題があり,これは未成年のお子さんを監護
していない両親が,子どもと触れ合うための機会を確保することを言いますが,父母とお子さんとの面会
交流を巡り紛争になる事例も多くあり,特に,母親が,子どもたちを連れて別居した後,離れて暮らす父
が母が監護するお子さんたちと会わせて欲しいと考えるのに対し,母が,様々な理由から面会を拒む場
合に問題になりやすいと言えます。

面会交流の実施の可否・条件については,基本的には「子の福祉」,すなわち,お子さんの健全な成長
発達の上での利益を考慮した上で決定されることになりますが,具体的に何が子の利益・福祉に適うの
かの判断は容易ではなく,この点を巡ってしばしば両親の間で争いになります。

そのように,面会交流について意見の相違がある場合には,通常,お子さんの監護に関する事項として
家庭裁判所に対して,面会交流を求める調停の申立てを行うことになり,合意をする場合には,例えば
月に1回程度などの条件が定められることが多いですが,当事者の視点に立ってみると,果たして妥当
な条件であるといえるかは疑問なしとしないところです。勿論,お子さんの年齢や生活リズム等も考慮を
すべき必要はありますが,離れて暮らす親の立場に立ってみると,月に1回程度しか愛する子どもに
会えないことは耐え難い苦しみを伴う場合があると親になってよく思うようになりました。

そのため,面会交流の条件を決定するに際しては,子の福祉に配慮しつつも,離れて暮らす両親と子ども
が実質的に触れ合える時間を十分に確保し,相互に感情の交換ができる機会を取ることが求められる
ものと言えますので,調停等の手続きにおいても,単に相場がこれぐらいだからという安易な理由から
機械的に判断をするばかりではなく,お子さんの年齢・発達状態や,学校生活の状況,面会交流について
の積極性の有無等も総合考慮しながら,柔軟であり,且つ,妥当な条件が定められるべき必要性が高い
ものといえます。

沢田法律事務所