ご報告が遅れましたが,刑事弁護において,初めて無罪判決を取りました
ので,ご報告します。

事案は,当時75歳のおじいちゃんが,動物飼育施設で働いていた際に,
同施設に従前から遊びに来ていた女の子に対して,自動車内において
わいせつ行為をしたというものであり,被告人は,上記の疑いを受けた
結果,突然,警察に逮捕されました。

強制わいせつ罪は法定刑の関係から,被疑者段階から国選弁護人が
就く事件であるため,逮捕直後に当職が国選弁護人に選任されました
が,活動むなしく,検察官が起訴するという判断をしたため,刑事被告人
の立場に置かれることになりました。

被告人は,逮捕当初から一貫して否認していましたので,公判でも当然
無罪主張を行い,被害を受けたと主張する女の子の尋問や,当初の聴取
に当たった警察官等の尋問を行った結果,最終的には,被害者供述の
信用性を否定する形で無事に無罪判決を得ることができました。

刑事事件は,これまで「精密司法」と揶揄されていたように,検察官により
起訴されれば,殆ど99パーセントが有罪という偏った世界でしたので,
被告人の無実を明らかにすることができてほっとしています。

なお,余談ですが,このように裁判になった後に無罪判決を受けた場合
には,刑事補償法という法律によって未決での勾留期間1日当たり,
最高1万2500円が保証金として支払われることになりますので,現在
裁判所に対して,刑事補償を求める請求を行っていますが,無実の罪で
突然警察に逮捕されただけでなく,数か月間も代用監獄である警察の
留置場内に勾留された被疑者・被告人の立場を想えば,上記金額で
果たして正当な補償であるといえるのかは疑問なしとしないところで
すが,この点については,法律の改正を待つしかないということに
なります。

以上,ご報告まで。

沢田法律事務所