弁護士の仕事をしていると感じることとして,日本の民事事件の手続きは判決等の裁判所の結論の実現には一定のハードルがある場合が多いということです。

例えば,犯罪の被害に遭った方が,加害者に対して,訴訟を提起する等して勝訴判決を得たとしても,加害者に資力がなければ,現実問題として回収をすることが困難な場合が多いです。そのため,どうせやっても無駄だからということで,法的手続きを採ること自体に二の足を踏む方も多いと思います。

このような場合に,裁判所等の公的機関が回収を支援してくれるかといえばそうではなく,裁判所の仕事は判決等の結論を出すことまでですので,仮に,相手方が判決を無視したり,和解した約束を守らない場合には,権利者の方自身が,相手方の財産を自分で探した上で,強制執行(差押)等の手続きを採る必要がありますが,執行対象となる財産を発見することは通常困難であることや,執行手続き自体にも費用がかかることから,使いにくい制度となっていることは否めません。

債務者の財産を開示させる財産開示という手続きなども一応がありますが,債務者に出頭を強制することができないため,余り実効性はなく,今のところ利用したことはありません。

以上のような債権回収の内,特に養育費等の権利者やそのお子さんの生活に直結する債権の回収については,法律上,複数の手続きが用意されてはいますが,結局はないものからは取れないのが実情です。

そのため,民事執行法を改正する等して,特定の債権に関しては,権利者がより簡単に権利の実現を図れるようにすることが必要であると自分としては考えています。

沢田法律事務所